野菜栽培の基本中の基本 ◎野菜は植物ですので、水と肥料をあげて健全に成長させてあげる事が不可欠です。 | ||
植物の光合成と呼吸 ◎光合成は日光のエネルギーと水に溶け込んでいる肥料(養分)、二酸化炭素を用いて、葉緑体でブドウ糖やデンプンを合成します。副産物として酸素を放出します。 ◎呼吸は、光合成で得られたデンプンと酸素を使って、各細胞のミトコンドリアでエネ ルギーに変換し、生長(細胞分裂)やアミノ酸の合成などを行います(昼夜問わず)。 ※根から養分の吸収が困難な場合、裏技として葉面散布と言う方法があります。 植物の葉面からも、養分や農薬などの化学薬品も吸収できます。 | ||
野菜の栽培の基本中の基本の実例 @.春に種芋を植え付けたジャガイモ(馬鈴薯)は、イモの肥大期が地域によって多少は異なりますが、高温で空梅雨気味の6-7月に大きくなります。 しかし、上述したように植物の成長は光合成によって行われますので、その光合成に必要な 水が不可欠となります。仮に大量に肥料をあげたとしても、その肥料は水に溶けて植物内を 葉緑体等まで運ばれるものですので、やはり水が不可欠という事になります。 A.春にツツジ(躑躅)に花が付かない、という話を良く耳にしますが、これも同じように、花芽の 元となる細胞ができ始めるのこの頃にかん水不足だった事が原因とも考えられます。 お祖父ちゃんが亡くなってから、ツツジ/サツキが咲かなくなったという様な場合には、施肥と 潅水に注意しましょう。 | ||
青枯れ病対策 |
青枯れ病について 2024年7月始め、大玉トマトが肥大し始めて収穫を楽しみにしていたら、突然「青枯れ病」(多分)に罹患してしまいました(*_*) 4年ぶりで二回目の感染です。 一度目は、種から育てたキンセンカを20本ほど剪定鋏で収穫した後、同じ鋏で二本の大玉トマトの脇芽をカットしました。 暫くしたら、冠水不足のように萎れてきました。ネットで色々と調べたら、間違いなくと判断できました。 思い起こしてみると、どうやら初めて購入した「ア○×△社」の種から育てたキンセンカの汁から感染したようです。 二度目は、今年の大玉トマトが6本が罹患しました。原因は、これも今年初めて購入した「日○×△社」の種から育てた大玉トマトでした。 ※教訓※ 二度とも、それまで買った事のない種屋さんの種子から感染したようです。トマトの種子は、十年以上も「タ○×社」の物しか使った事がありませんでした。「安物買いの銭失い」でした(^^; 「青枯れ病」はラルストニア・ソラナセアラムという細菌(ウィルスではない)が病原体だそうです。この細菌は、酸やアルカリで容易に死滅するとの事だそうです。そこで、経験的にトマトはアルカリ性に弱くないと考えているので、手っ取り早く、かつ安価な消石灰の散布が良いと判断しました。 ※詳細はチバニアン兼業農学校など他のサイトをどうぞ※ (対策方法) 一度目は、”素早く”消石灰をトマト域の全面散布し散水しました。 これを三度繰り返したら、罹患した2本以外は、無事収穫できました。 翌年以降も、同じ場所に植え付けたトマトは一切異常がありませんでした。 ただし、私は連作障害を避けるため自作の草木灰をたっぷり入れています。 二度目は、罹患した苗の近傍だけ消石灰を散布して様子を見ました。 すると、次々に近傍の大玉トマトが罹患してしまいました。 ※教訓※ 様子見などせずに、直ぐに、全域に消石灰を散布と灌水を繰り返しておけば良かった、と後悔しています。 ※余談ですが※ 消石灰のカリシウムCaは、トマトの尻腐れ病の対策にも効果があるようです。(尻腐れ病対策には、薬剤を使用しない他の方法もあるようで、私も実戦しています) |
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キュウリ栽培のコツ キュウリの苗 |
@.すぐに病気にかかりますので、耐病性が付与さたF1品種を栽培しましょう。 ※F1とは:一代限りの交配種で、耐ウィルス病等様々な耐病性を有するように作られています。尚その種を採取しても、翌年は必ずしも同じ品種が育ちませんが、農薬を使用しなくても栽培できる可能性が上がります。 A.胡瓜の根は乾燥し易い浅い根ですので、忘れずに潅水しましょう。高温で晴天が続いた場合には、すぐにうどん粉病が発生し、枯死してしまいます。 ※タキイ種苗の”シャキット”は、甘みと歯触りが良くてうどん粉病やモザイク病に対する耐性があります。 B.プランターで栽培する場合は、お近くにあれば、水持ちをよくするために「野菜の土」に”畑の土”を半分ほど混ぜましょう。プランター栽培では、水はけが良すぎると、夏場の高温/乾燥でうどん粉病が発生してしまいます。 C.追肥は”野菜用の化成肥料”を時々パラパラっとあげましょう。 D.自分の背丈を超えたらトマトと同様に摘心しましょう。成長点を摘んでしまわないと背が伸びすぎて管理しづらくなり、果実へ行くはずの養分が足りなくなります。その結果、病気になったり、小さな瓢箪のような形のキュウリができたりします。 E.一本の苗木から次々とわき芽が出てきて実を付けます。畝長1m辺り苗木は1本位に植え付け、わき芽を育て上げるようにしましょう。苗木代を節約できます。支柱の間隔は70cm以下位にして、キュウリネットを併用しましょう。 また、余分なわき芽は摘み取りましょう。ジャングルのようになってしまうと、管理しづらくなったり、光合成不足で病気に罹り易くなります。 F.キュウリには単為結果性質があるので受粉は必要ありません。但し、受粉もするので露地栽培で大きくなったキュウリの中には種が入っています。同じような単為結果性を示す果実に、バナナやパイナップル、イチジク(無花果)等があります。 なお、種なしブドウはジベレリンという植物ホルモンに浸して種をなくします。 キュウリの花からは、微かながらバニラのような香りがします。 但し、早朝にだけ香ります。 |
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トマト栽培のコツ なかなかスーパーでは買う事のできない完熟トマトミニトマトなら簡単です このわき芽を2本伸ばして3本に仕立てましょう。 |
@.大玉トマトよりミニトマトを栽培しましょう。 理由:病気に強いので簡単に完熟します。タキイ種苗の”千果”は、耐病性がある上に甘くて大量に採れます。 A.雨が当たらない場所で栽培しましょう。 理由:ミニトマトでも雨に当たると、完熟前でもすぐに裂果します。 B.南向きで風通しの良い場所で栽培しましょう。 理由:光合成には日光が必要です。また、裂果を防ぐには、葉や果実周辺が 乾燥していることが重要です。 屋根があるベランダや庇の下で、プランター栽培が簡単です。 C.培土は「野菜の土」でok、肥料は、窒素、リン酸、カリ、苦土等が混入された化成肥料を時々パラパラとあげましょう。 D.水やり(潅水)は、土が乾いてから根本に昼近くになったらやりましょう。 理由:裂果は早朝に多く発生するので、蒸散が進む昼近くが好ましいです。 ※参考資料 E.一本の苗木のわき芽2本を育て上げると、三本の苗を栽培できます。 経済的です。支柱の間隔は50cm位にしましょう。 ※参考==>左の写真 上記以外のわき芽は2cm位になったら全て摘み取りましょう。 F.自分の背丈を超えたら摘心しましょう。成長点を摘んでしまわないと背が伸びすぎて管理しづらくなり、果実へ行くはずの養分が足りなくなります。 G.一部のトマトには単為結果性質を有する品種もありますが、一般のトマトには結実するために受粉が必要です。 ハウス栽培ではホルモン剤を使用して人工受粉させることが多いようです。従って、マンション高層階のベランダや室内の窓際で栽培する場合には人工授粉が必要となります。 |
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用語解説 ◎エチレン(CH2=CH2):植物自身が作り出す植物ホルモンと呼ばれる可燃性ガス。工業的には石油から作り出され、ポリエチレンなどの原料となる。植物ホルモンとして古くから知られ、リンゴは熟すまでの間大量に発生させるため、バナナやキウイの追熟に利用される。また馬鈴薯の発芽抑制効果がある事が広く知られているが、日本では平成21年になって漸く農水省が中心となって実証実験が開始された。 ※参考資料(農林水産省の審議会配布資料)@エチレンの概要、Aエチレンの使用状況について ◎じゅふん(受粉):トマトやキュウリなどの被子植物においては、雄しべの花粉が雌しべの先端(柱頭)に付着して発芽する。発芽で伸びる花粉管が子房内(将来キュウリやトマトの実になる部分)の胚珠(いわゆる卵細胞)まで近づき受精する。 なお、花粉にはオーキシンと呼ばれる植物ホルモンが含まれていて、受精の有無に限らず子房(果実)を肥大成長させる性質がある。このため、室内栽培などで人工授粉に利用される。 ◎せきさんおんど(積算温度):農作物栽培期間中に、ある基準値を超えた日平均温度を合計した値。ある基準値とは作物の品種によって異なる。 なぜ作物/品種によって異なるのかは、専門書/論文を参考にして読者自身で研究していただきたいが、恐らくその植物生体内の酵素の種類や量によって左右されるものと考えられる。 例えば新潟県で馬鈴薯(ジャガイモ)を栽培する場合、種芋の植え付け時期が3月上旬でも4月上旬でも収穫時期に大きな違いはない。また、キヌサヤエンドウは3月上旬と4月上旬に播種した場合とでは収穫開始時期が大きく異なる。 従って、ホームページなどを参考にして植え付け時期などを決める場合は、そのホームページの作者がどのような地域での経験に基づいているのかを念頭に置かなくてはならない。 ◎たんいけっか(単為結果):受粉せずとも実を付ける性質。キュウリ、無花果(イチジク)、バナナ、 パイナップルetcには単為結果性を示す品種が多く利用されている。 デラウェア等の種なしブドウは、ジベレリン(植物ホルモン)を使って結実されるので種が入って いません。 ◎ようりょくたい(葉緑体):光合成を行う細胞内で独立した器官。多量のクロロフィル(葉緑素)を 含む。なお、鉄分が土壌中の不足すると葉緑体の働きが不完全となり、黄白化現象を引き起こす 事もあります) 更新履歴 2017/04/10 野菜の育て方サイトを開設2024/10/30 「青枯れ病」についてを追加 |