新潟県阿賀野市には、フォッサマグナの東縁に当たるの月岡断層が走っています。
月岡断層と地震について
新潟県阿賀野市の東縁に位置する五頭連峰の西麓には、地質学的に大変有名な
月岡断層
を含む新潟県新発田市から新潟県北魚沼郡小出町(現、新潟県魚沼市)まで連続する延長約150kmの新発田−小出構造線があります。この構造線は、ナウマン象で有名なナウマン博士が提唱した
フォッサマグナ(ラテン語:大きな窪み)地帯
の東縁にもあたります。
そのため、いずれ月岡断層付近では直下型地震が起きるのではないかと危惧されていました。
この危惧を裏付けるかのように、旧安田町教育委員会の調査で、阿賀野市(当時安田町)のツベタ遺跡(
位置
)と
野中遺跡
(
位置
)で縄文時代の月岡断層の活動によるものと推測される約5000、4000、3600年前頃の合計三回の大地震による液状化跡や地割れの痕跡も確認されていました(文部省科学研究費No.06455010 新潟大学 研究者代表 高濱信行,1997年3月,地表変動と遺跡の成立・破壊の関連の研究,pp.39-41)。
参考までに、上記の「地表変動の遺跡の成立・破壊の関連の研究」では、
野中遺跡
で直径40-100cmの花崗岩礫から成る直径17m-21mの環状列石(
ストーンサークル
)が見つかったこと、阿賀野市(旧笹神村)下福岡では12,000-14,000年前(推定)の地層からトナカイの角が発見されていたこと、蟹ケ池(旧安田町福永)の大蛇伝説や古文書の記述を土石流で説明できること等を報告しています。
そんな中、1995年(平成7年)4月1日12時49分に、新潟県阿賀野市(旧笹神村)高田付近を震源とするマグニチュード6.0の直下型地震(国土地理院リポート参照:
新潟県北部地震
)が発生しました。
余談ですが、私の記憶ではこの地震の予兆となる前震が前年の10月頃より発生していました。夜寝ている時などに、さほど大きくはありませんが突き上げるような地震が度々発生していました。不安に駆られ動悸が激しくなったこともありました。
以下の図は、気象庁の震度データベースから取得した前震を示す図ですが、震度1以上に限定したデータベースで震源地付近に地震計がなかったため以下の二例しかヒットしませんでした。震源地では、実際にはもっと多くの震度1以上の地震が発生していたと思われるので、個人的には、もっと多数の地震計があれば良かったなと思っています。
また、同年1995年1月17日には阪神淡路大地震(マグニチュード7.3)が発生し、6,437名の方が死亡もしくは行方不明となりました。
記憶の新しいところでは、2004年(平成16年)10月23日には、新潟県中越地震(マグニチュード6.8)が発生し、65名の方が亡くなりました。
これらの直下型の地震は、大陸側のプレートに載っている日本列島を年間3cmから8cmの早さで南東から北西方向へ押しつけている太平洋プレートとフィリピン海プレートの動きに起因していると推測されており、また、これにより山脈などが形成されます(
造山運動
)。
そこで、プレートの活動に起因した褶曲、断層、隆起、火山活動により山が形成されるため、地震の揺れが大きい方角は山脈と直交方向ではないかという推測が成り立ちます。
実際に調べてみますと、「
1995年新潟県北部の地震に関する緊急災害調査報告
(国土地理院)」では、「倒れた墓石や灯籠は数多く見られたが,その多くは北西−南東方向から東西方向の地震動により倒れたものが多かった」との記述が認められます。また、実際に我が家の書棚も五頭連峰方向に面したもののみ倒れていました。
すなわち、新潟県阿賀野市付近は、新潟県北部地震で五頭連峰(新発田−小出構造線≒月岡断層に平行している)の方角の揺れが大きかったという事です。
ちなみに、阪神淡路大地震では、「(独)港湾空港技術研究所 構造震動研究室
研究ノート
(直下型地震の揺れの向きを考慮した耐震強化岸壁の配置計画)」によると、「揺れは北北西-南南東の方向(六甲山地と直交方向)に卓越していたことがはっきりわかります」と記述されており、「過去の文献で調べ, 震源断層が横ずれ断層か逆断層かを問わず,震源の近くではほとんどの場合, 断層と直交する方向の揺れが卓越することを突き止めました」との記述もあります。
また、新潟県中越地震でも同様で、新発田−小出構造線に直交方向の揺れが卓越していました。
この様に、新潟県阿賀野市で発生する地震は(拡大解釈かも知れませんが)、概ね北西−南東方向の揺れがより大きいものと見なして
建築物
や土木構造物の耐震性を考えることが重要ではないかと思います。
いかがでしょうか?
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